BOYSエステ 第12話【最終回】
七里と、七里の母・杏子との会食の席で、自分の中にある響の存在の大きさに気付いた静香。「もうこれ以上、自分をごまかすな」という七里の言葉にレストランを飛び出し、思いを伝えるために、響のいる『BOYSエステ』へ駆けつける。しかし、スタッフルームでは、響が叶にロンドン行きを表明していた。静香がなぜ『BOYSエステ』を訪れたのかを知らない響は、七里の母との対面がうまくいったかどうかを静香にたずねる。静香は、精一杯の笑顔でうまくいったと嘘をつく。
お互いの本当の気持ちを知らないまま、響と静香は、心の中でそれぞれに別れを告げていた――。
後日、『BOYSエステ』のスタッフたちに、叶と響がロンドンに2〜3年のエステ研修に行くことが伝えられる。続けてオーナーの吉馬から、次期社長候補として名和製薬で働くために、オーナーを引退するという宣言が。さらには、七里から『BOYSエステ』を辞めて学園の仕事に専念するという報告があった。そして叶の指名により、新店長は直紀が務めることになる。
その数日後。『BOYSエステ』では、直紀の提案によりお別れパーティーが開かれていた。思い思いの時間を笑顔で過ごす面々。そんな中、静香はそっと部屋を抜け出して行く響のうしろ姿を目で追いながら、響への贈り物を渡そうかどうか迷っていた。そんな静香を見た七里は、そっけない態度をとりながらも「渡してやれば?」と背中を押す。
七里の言葉に勇気付けられた静香は、施術室で思い出に浸る響のもとへ。そして、「今までのお礼」と、睡眠不足になりながら一生懸命に編んだ手袋を差し出す。穴だらけの不恰好な手袋は、寒いロンドンで響のゴッドハンドを守るためのものだった。感動した響は、部屋を出て行こうとしていた静香に「言いたいことがある」と引き止め、手袋のお返しにと最後の施術を申し出る。二人きりの施術室で、淡い期待を抱いて響の言葉を待つ静香。しかし、緊張のあまり響はリバウンド防止のためのアドバイスを延々と話してしまう。業を煮やした静香は「もういい!」と暴れ出し、日本での最後の夜は幕を閉じる。
夜が明けて、ついにロンドンへの出発日。
空港のロビーに、静香の見送りの姿はなかった。手編みの手袋を見つめて静香を待つ響だったが、あきらめてゲートに向かおうとした瞬間、叶の携帯が鳴る。空港に向かう途中、静香が車にはねられて病院に搬送されたらしい。思わず駆け出した響は、タクシーに飛び乗り病院への行き先を告げる。脳裏には、静香との思い出が走馬灯のように駆け巡っていた。
病院に到着した響が、受付で静香の名前を告げていると、「響くん?」と聞き覚えのある声が。見ると、手に包帯を巻いてはいるが、ピンピンした様子の静香だった。安堵感から涙がこぼれそうになる響。そして、ずっと言えなかったセリフを口にする。
「オレ、静香さんが好きだ」
ロンドンへ行ってしまう響をあきらめようとしていた静香。しかし、「静香さんには七里さんがいるとわかっているけど……」と続ける響の言葉を遮(さえぎ)り、答える。
「静香も……響くんが好き」
1ヵ月後。
静香の事故のせいで、飛行機に乗り遅れた響は、ロンドン行きのチケット代を稼ぐために、休日返上で海の家でバイトをしていた。その傍らには、水着姿の静香がいる。響がバイトばかりしているため、デートもできないとスネる静香。響は微笑みながら、そんな静香に顔を寄せる。
夏の終わりの太陽に照らされて、ふたり、ついにキス……。
Fin.
|