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とは言いながら、“美少女”といったら、ボーメさんは第一人者じゃないですか。スタイルがよく、カッコいい作品をずっと作り続けていますよね。
作りたいというものはあったんですよ。けど、自分にはやれることがこれしかなかったということですね。ぼくがやっていることは一番手薄なところなんです。ぼくがやらなければ、海洋堂は“美少女”なんかやらなかったでしょう。つまむ程度で。ぼくが一生懸命にやりすぎて、なんか知らんけど海洋堂のジャンルに入り込んでしまったと。館長や専務は恐竜とか戦車とかアカデミックなものをやりたかったのに、ぼくがそういうのを無視して突き進んでしまったから、こうなったということですね。
突き進んだ最初のきっかけはなんだったんでしょうか。
好きな作品があったからです。それを立体にして手に持ちたい、見たいと思ったんですね。怪獣やヒーローものなんかの“実際の立体物”はなかなか自由に作れないんですよ。ロボットもちゃんとシンメトリーにしないとアカンとか、カタイ約束がいろいろあるし。たとえば、怪獣は着ぐるみどおりにしないとダメというのがあります。チャックまで再現して、精密に作らないといけない。怪獣やヒーローは現実にそういうキャラがいるというイメージでチャックを取り、着ぐるみのようなデザインじゃないリアル感を出したらダメな時期があったんです。80年代に。買う人は本物の着ぐるみのレプリカ、縮尺モデルが欲しいという意識が特に強かった時代でしたから。だからチャックとかも「あの回のチャックのついている位置が違います」とか「仮面ライダーのあのときのバックルは逆になってました」とか細かいことが要求されるようになります。そうなると面白くないし、やりたくもない。メカはメカで見るのは好きだけど、作るのはちょっと苦手ということもありました。
その点、美少女だといろんな自分のイメージとか技術とかを思い通りにできるんです。服のシワの作り方を変えてもゼンゼン大丈夫ですから。それって他のジャンルではできないんです。いろんなモノを放り込んでも大丈夫、いろんな細工をしても許される表現として残っていたのが美少女だったんです。それに描いている人にも会えますしね(笑)。会って作家さんと交流ができるというのもうれしいですよ。
美少女が好きだったということよりも、ほかになかったと?
当然、美少女は好きですよ。当時はラムちゃんとかも好きでしたし。でも、好きな作家がいて、その人のデザインしたキャラクターだからというのも、ひとつの目的でしたね。“この作家が大好きだから、作ろう”と。で、機会があればお会いできればなと……。それでポーズを自分で考えたり、その人の絵をそのまま立体化したりしました。
エヴァブームのときの綾波レイとか、売れ筋というのは狙うんですか。
『エヴァンゲリオン』のときは考えてなかったんですが、意識するときはあります。それと『セーラームーン』を作ったときに、よその造形師さんにイヤなことを言われたんですよ。「あんたが作るとそれが一番になってしまうから、作ったらアカン」と。「えー?」と思いませんか。「下手で全体のレベルを下げるから作るな」ではなくてですよ。裏を返せば誉め言葉なのかもしれませんが、そのときは頭にきて「なんじゃそりゃ……?」と思いましたよ。仮にも“モノを作る人間”がほかの誰かを一番なんて決めて、そんなことを言い出したらそれはすごくダメなことだと思うんですよ。ぼく自身、自分が一番なんて思えないし、実際そうじゃないんですから。
ただ、そう言われてからは、ブームがズレたときに作るということになりましたね。それでも『エヴァンゲリオン』は大ブームのときに海洋堂の仕事として1、2個作ったかなあ。
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造形ルームにつながる廊下のショウウインドウに並ぶ原型。ボーメ氏のほとんどの作品も展示されていて、圧巻。なかにはオークションで300万円という値段をつけられたものもあるとか。
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基本的に自分の作りたいものを作って、ブームに合わせて作るということをしないということですか。
そうですね。それに有名なキャラクターって、ほかの人がいっぱい作ってるじゃないですか。だから自分は違うものを作ったほうが面白いし、目立つんじゃないかと思うんですよ。ほかにはマンガや映画、写真を見て作りたいものを作っていますよ。専務に「オレが作れって言っても、作らへんやないか」と言われながらね。
好きな美少女の系統とかはあるんですか? メガネっ娘が好きとか、妹キャラとか委員長キャラとか、いろんな系統が生まれていますけど。
それは時代によって変わりますね。あのときはこのキャラが好きだったけど、いまはこっちが好きと。いま、気になる人は大暮維人さんですね。ものすごく気になってるんですよ。突然出てきて、ブレイクしているじゃないですか。この人の描くものもどんどん変わっていっていて、いいなあと思ってるんですよ。
しかもこの人はファッションセンスもいいんですよ。いま流行のものとかそういうのじゃなくて、自分で考えて描いているような感じですし、色の使い方とかにもひかれますよね。この人の作品はまだ作ったことはないですけど、チャンスがあれば作りたいですよね。いろいろあっていまはダメですけど。作るときに許可がないとダメですからね。悪あがきしていると、チャンスが巡ってくることもあるので、いまはいろんな媒体で、彼の絵にひかれていると言ってます。(⇒次頁へ)
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