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[萌え萌えジャパン]番外編 青い目から見たオタク文化 アントニー・ファイオラさんインタビュー!
2003年1月、第156回国会の施政方針演説において小泉総理は、宮崎駿監督の映画『千と千尋の神隠し』が国際的な評価を獲得している状況にふれ、こうした潮流を国が「後押しする」という方針を述べた。2004年4月には内閣総理大臣、経済財政政策担当大臣、情報通信技術担当大臣らからなる諮問機関、知的財産戦略本部のコンテンツ専門調査会が「コンテンツビジネス振興政策―ソフトパワー時代の国家戦略―」というレポートを発表。この中ではアニメ、ゲームソフトといったコンテンツが海外で高い評価を獲得しており、日本に「COOL JAPAN(かっこいい日本)」というイメージをもたらしているという認識のもと「コンテンツビジネスを国家戦略の柱に」と提言されている。

萌え萌えジャパン
ファイオラ氏の記事「In Tokyo, a Ghetto of Geeks」
こうした日本発のコンテンツの中核がアニメやマンガ、ゲームなどであり、これらの作品をファンが集まって楽しむ文化、いわゆる「オタク文化」が、現代の日本ではものすごい盛り上がりを見せている。日本発のコンテンツの中で圧倒的に強力なものは、オタク文化に関わるものと言ってもまったく過言ではなく、国内のみならず海外のメディアもオタク文化に熱い視線を注いでいる。日本は今、“史上空前のオタクブーム”なのである。それも国際的なスケールで。MouRaではこうした状況を踏まえ、アメリカ「WASHINGTON POST」紙にてオタク文化を取材、「In Tokyo, a Ghetto of Geeks」という記事を発表したワシントン・ポスト北東アジア総局長アントニー・ファイオラ氏にインタビューし、なぜオタク文化を取り上げた理由と取材を終えて抱いた印象とをうかがった。なお聞き手はファイオラ氏と同様に日本の「萌え文化」を取材し、それを著書『萌え萌えジャパン』として発表した堀田が務めた。
オタク文化にはワクワクします。
萌え萌えジャパン
──ファイオラさんは日本のオタク文化に取材し、それを記事「In Tokyo, a Ghetto of Geeks」として6月5日付のワシントン・ポスト紙で発表なさいました。いかなる理由からオタク文化を取材しようと考えたのでしょうか。

そもそも「オタク」という言葉でくくられるファン活動の文化が存在すること自体が、興味深いことでした。アメリカにも『スター・ウォーズ』を観るために徹夜で映画館に並んだりする人はいるのですが、同じようでいて違うところがオタク文化にはある。そこが私にとってワクワクするところだったんです。日本人はファン活動であっても、非常に組織化されていますね。

──広い意味で「お約束を共有して楽しむ」というところがありますね。

アメリカのファン活動にも、なにかを分かちあうことで楽しんでいる部分は確かにありますけど、オタク文化にはもっと違うユニークさがあると感じるんですよ。

──たとえばアメリカでもSFのファン活動、『スタートレック』のファンダムなどは盛んに盛り上がっていました。こうしたマニア活動が日本のオタク文化の雛形であり、非常に近いと感じるのですが。

確かに非常に似ていると思います。違いは少ないかも知れない。しかしその少ない違いに大きな意味があると考えているのですが、日本のオタク文化には、なんというか強固な“セクシュアリティ”が存在しますよね。

──性的な魅力が重視される。

そこが違うと思います。

──ただかつてのアメリカのSF作品、いわゆるパルプ雑誌に掲載されているようなものでは、「大きな胸をした女性がクリーチャーに襲われて服が破れていく」といった場面がつきものだったりしましたが。

そうしたものでは、あくまで大人の女性の、大人なりのセクシーさの表現として描かれるでしょう。しかし日本のオタク文化の文脈の中で出てくる作品では、女の子がセクシュアルに描かれる。たとえばアメリカやヨーロッパの場合なら、『不思議の国のアリス』のように小さい女の子が主人公の作品だと、そのキャラクターをあくまで小さい女の子として描きます。それが日本に来ると、体だけは大人の女性の体になってしまう(笑)。そういったところは特徴的だなと感じます。

──「小さい女の子」ではない、いわゆる「美少女キャラクター」になってしまうということですね。実際、描き手の人も「こちらにもっと肉感がほしい」とあちこち肉づけしていくうちに、自分でも「これ全然小学生に見えないよ!」と感じてしまうこともあるそうです。

漫画というメディアに対する考え方が、非常に違うんだと感じるんですよ。日本人は漫画を非常に真剣に受けとめている。欧米ではあれば、漫画はやはり子供のものなんですよね。だからそこに存在する世界も、子供の感覚を持って存在する。しかし日本では違います。漫画というメディアが大人のためにも存在するので、作品世界の中にも大人の性質が入ってきます。だからそれに伴って大人の感性、性的な感覚も入ってくる。これが日本のオタク文化の特徴だと思います。

──そうした美少女キャラクターの魅力を指す言葉として「いい女だ」とか「美人だ」とは言わずに、「かわいい」と表現します。これがオタク文化特有の感覚なのでしょうね。

ただ「かわいい」だけではないですよね。そこに大人として性的な魅力を感じてもいる。もちろんこれは「良い」とか「悪い」とか道徳上の話ではなく、作中に現れる感性の領域の話ですが。私だけではないと思います、そうした感じ方をしているのは。

──その性的な魅力と交じり合って渾然としているところに発生する感覚が、美少女キャラでいう「かわいい」であって、これは英語の「cute」とは異なる、オタク文化特有の感性だと思います。

確かに架空の、想像された存在なんですけど、そこには生身の性的なファンタジーにつながるものがあるのではないでしょうか。堀田さんがおっしゃった例でも、漫画家さんがキャラクターに肉づけしていくときには、そこに性的なファンタジーが加味されているはずだと思いますよ。

萌え萌えジャパン
──それが2次元で描かれるキャラクターの本質で、実写とは違い、現実のなにかを継承しているんだけども現実の姿にとらわれない。だからこそ優れた才能がキャラクターにファンタジーを盛り込んでいくと、ときに現実以上の魅力を放つ架空の存在が生まれるのだと思います。ファイオラさんはこうしたキャラクターに、たとえば「現実の女性よりも魅力的だ」と感じる瞬間はおありですか。

ノー!! それは・・・・・・(笑)。

──日本人でも議論がわかれるところですからね(笑)。

私自身は漫画を観て「セクシー」だとは感じないんですよ(笑)。これが私個人の感覚なのか、西洋人一般の感性なのかはわかりませんけども、西洋人はセクシーなものを表現するために、美少女キャラクター的な表現は使わないと思うんです。[次頁
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