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地底文化フォーラムが開催されたのは埼玉県北葛飾郡庄和町。首都圏外郭放水路、調圧水槽の所在地である。首都圏外郭放水路は、中川等の河川の洪水を地下トンネルに取り込み、江戸川に排水することによって浸水被害を軽減することを目的として建造された。「深度約50mの地底に、延長約6.3kmの河川をつくる」という日本最強にして世界最大規模の洪水防止施設である。1993年(平成5年)より建設が開始され、現在はその計画のうち3.3kmまでが完成している。
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首都圏外郭放水路の施設概要 「首都圏外郭放水路 未来へつなげる地下の川」より
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調圧水槽は、その地下河川に流入した水の勢いを弱め、スムーズに排水するための巨大プール。そのサイズは幅78m、長さ177mとなる。巨大なポンプを稼動させるために必要な水量の確保と、緊急停止時に発生する逆流対策のため、これだけの規模が必要とされるそうだ。しかし、かくも巨大な施設を地下に建造すると、地下水によるアップリフト(揚圧力)のため、調圧水槽自体が浮きあがってしまう。そのアップリフト対策として天井に載せている土砂と梁のコンクリート、柱や底盤コンクリートを荷重としているという。
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パルテノン神殿を思わせる柱が林立する、巨大な地底空間、調圧水槽
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調圧水槽が建設された区域には、この巨大施設の頭脳と心臓となる、中央操作室とポンプ設備も存在する。首都圏外郭放水路のポンプ設備は、航空機用に開発された1万3000kWのガスタービンを改造、タービンのかわりにポンプを稼動させるように変更されたエンジンが使用されている。その出力は1万4000馬力の大出力を誇る。余談であるが1万4000馬力というと、日露戦争時の日本海海戦で活躍した戦艦三笠のエンジン出力に、匹敵する大出力である。
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航空機のガスタービンを使用したポンプ設備。動作音も航空機並みであるため、周囲には防音設備も施されている
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洪水を抑止する地下河川の長さは、庄和排水機場から春日部市小渕まで約6.3kmとなる予定。その過程には洪水を取り込むために大きな立抗が建設されている。各立抗は65mの深さ、32mの直径という、これもまた大きな規模であり、スペースシャトルや自由の女神がそのまま格納できるサイズとなっている。これら巨大な地下施設は、まず円筒状の鋼鉄の筒を地下に押し進め、その後にセグメントというコンクリートブロックなどを組み立てていく最新のシールド工法により建造されたという。またセグメントの供給から組み立ては最先端技術を駆使し、すべて自動化されて工事が行われたそうだ。
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第1立坑。工事時の立坑はトンネルを掘るシールドマシンの発進および到達の施設となる
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地底文化フォーラムは、洪水発生時には地下の湖となる調圧水槽の中で、250人の"地下愛好者"を集めて開催された。調圧水槽は約18万トンの水を貯水することができる。その中には高さ約18m重さ約500トンの柱が59本も林立し、「首都圏の治水のため」という機能を目的とした施設でありながら、地上の巨大建築物とは異なる神々しさを感じさせる。フォーラムのコメンテーターは巨大建造物愛好家として、各地の工事現場に突如として現れたりすることでも知られる映画監督・庵野秀明氏、地底の美に魅了された写真家・内山英明氏、日本鋼製地下室協会会長の東方洋雄氏、国土交通大学校教授の宮尾博一氏ら、地底文化を愛する4名。不思議な安心感とエロスを感じさせる首都圏の地底で、地底文化総合研究所、国土交通省大深度地下利用企画室など、文字通り"ディープ"な面々の、地底の有効利用に関するさまざまなプレゼンテーションが行われた。ちなみにこの調圧水槽は『仮面ライダー555』『ウルトラQ』『スカイハイ』などの作品のロケ地としても知られている。
このフォーラムを主催したのは首都圏外郭放水路の持つ可能性を探るG-CANS PROJECT。世界最大級の巨大洪水防御施設がある町の人々と、それをつくった国がともに、巨大地下施設が持つ新しい可能性を考えていこうとする「民官共同」のプロジェクトであるという。現在は庄和町町民と国土交通省江戸川河川事務所の人々で構成されているが、G-CANS PROJECTでは今回のフォーラム開催を機に、「誰でも参加できるプロジェクトにしたい」と考えているそうだ。いかがでしょう、もしあなたが地下の魅力に憧れる気持ちを心のどこかにお持ちであれば、このプロジェクトに参加なさってみては。
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「巨大建築物は工事中がいい。構内に工事のためのレールが敷かれていたり、重機が置かれている状態がいいですね。見学するのにヘルメットをかぶる時の気構えもいいです」と語る庵野氏
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