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環境プラットフォーム『エコログ』

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平和なよりよい未来をつくるために
アーヴィン・ラズロ COSMOS
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物質文明の先にあるもの……
破滅(ブレイクダウン)か大躍進(ブレイクスルー)か!?
アーヴィン・ラズロ×須藤元気

須藤 ルネッサンスから近代合理主義成立まで、東欧は世界の中心的な舞台だったと思うのですが、博士も提唱なさっている「心のルネッサンス」も、アーサー・ケストラーなど、東欧出身の知識人がリードしているように思えます。ハンガリー、そして東欧のエリアには、何かこうした思想を育てる土壌のようなものがあるのでしょうか?

ラズロ 鋭い質問ですね。ハンガリーは、歴史的に多くの変化を受けてきました。ずっと強い国同士の対立に挟まれてきたのです。第二次大戦中はドイツとソビエト、もっと前はトルコとモンゴルの対立に挟まれていました。そうした中で生活していると、変化が激しすぎて、広い視野に立たざるをえないのです。ケストラーもハンガリーからオーストリアに移住していますから、私と同じく、ハンガリーにずっといたわけではありません。しかし、ハンガリーでの生活で、心が世界に開かれた状態になったのではないかと思います。さらに、私たちはなんとかして自分たちで国家を守ろうと、必死に抵抗していました。だから、常に緊張が存在していたんです。東欧全体にもいえることですが、その緊張が知的なエネルギーの源になったのかもしれません。

須藤 ラズロさんは新しい時代のキーワードとして「惑星意識」(編註:ラズロ博士と14世ダライ・ラマ法王は共同で「惑星意識宣言」を執筆した)というものを提唱なさっていますけれども、現在の競争原理に基づいた物質文明、グローバルな金融資本主義というあり方を否定的に考えていると理解してもよろしいんでしょうか?

ラズロ 否定するというよりも、自分は「統合(インテグレート)」ですとか、「超越(トランセンド)」という言葉を使っています。人々はそれぞれ自意識を持っていますし、国家意識を持っていますよね。そして、いろいろな国のいろいろな人たちが常に意識で結びついている状態になっています。こうした状態の中、私たちは生態系に属している。私は地球全体の生態系の意識、つまり「惑星意識(プラネタリー・コンシャスネス)」を提唱しています。この広い意識が自意識や国家意識を「超越」して、「統合」していく状態を目指している。競争というのは人間の性質のようなもので、決してなくならないですが、競争も惑星意識の中でとらえると、あり方が変わってくるはずです。資本主義も、あり方が変わってくる。意識が変われば、まったく別のものになっていくんです。

須藤 いまの物質文明が人類の進化にとって通過点だとしたら、次にくる文明はどのような姿を想像されますか? 惑星意識を持った人類の姿や世界はどのようになっていくのでしょうか?

ラズロ これまでの著書にも何回か書いたことがあるのですが、自分はその新しい文明というのを、物語風に、2012年に世界はどのような姿になっているかで論じています。基本的には、いまある対立が克服されて、人々が結びついていくような方向にいくだろうと考えています。対立している国のいくつかは結びついて、共和国になるのではないでしょうか。政治体制というより、市民社会の結びつきが強くなり、国や地域に縛られない、惑星文明ともいえるものが誕生すると思います。そうすれば、資源も分かち合えるようになるし、新しい倫理を打ち立てることもできます。すべてのものをすべての人が分かち合う文明が始まるのです。実際、ヨーロッパではEUができましたし、アメリカにしてもいろんな州がまとまってひとつの国になっているのですから、不可能ではないのです。

須藤 ということは、世界は統一国家のようなかたちになるのでしょうか?

ラズロ 惑星文明というのは、政治的に統一されてひとつの国になるというのではなくて、文化的に結びついていくということです。いろんな国の多様性を認めながらも、共通の価値観を打ち立てていって、統合していく。例えば、私たちの身体にしても、内臓があって、骨があって、皮膚があって、それぞれ別のものなのに、すべて調和してうまく機能していますよね。それと同じようなことが、世界で実現するのです。

須藤 『CosMos コスモス』の中に、破滅(ブレイクダウン)か大躍進(ブレイクスルー)かという記述がありましたが、エヴェレット解釈(物理学者ヒュー・エヴェレットが提唱した、量子によって無数の宇宙でそれぞれ異なる現象が起きているという多世界解釈)のようなかたちで、破滅する人もいれば、躍進する人もいると考えていいのでしょうか?

ラズロ 私のいう破滅とは、全人類が揃って破滅してしまうということで、個人個人の問題ではありません。水不足の危機や、地下資源の枯渇や、財政危機や、温暖化の危機など、兆候はすでに見えています。これらを乗り越えられなければ、すべてが破滅にシフトしてしまうのです。

須藤 いま日本では、年間3万人以上の人が自殺していまして、ひとり一人の心の構造が崩れていると強く感じます。僕は「思考」「言葉」「行為」という三つの要素が現実をつくり出すと考えているのですが、イメージしたものが現実になるスピードが早くなってきているような気がするんです。そうした破滅の兆候は、個人個人にも影響を与えているのではないでしょうか?

ラズロ 私たちはシステムの一部なので、システム自体が変化の時期にあり、不安定でカオス的になってくると、必然的に私たちも影響を受けます。特に敏感な人たちの心が不安定になったとしても、不思議ではありません。

須藤 それは、太陽の黒点周期と関係があるのでしょうか?

ラズロ 直接の因果関係はありませんが、太陽の活動は電磁場に影響を及ぼすので、電磁場を通して私たちにも影響があるはずです。周期という意味では、地球の持つ磁気にも変動の周期があって、それを測定すると、ここ2~3ヵ月で特に周期が早くなっているようです。こうした変化を感じている人もいるのではないでしょうか。

須藤 最後に。僕はちょうどハンガリーに次回作の取材旅行に行こうと思っているのですが、行っておいたほうがいい場所や、食べておいたほうがいいものがありましたら教えてください。

ラズロ ハンガリーにこられましたら、とにかくブダペストクラブにはぜひきてください(笑)。スタッフが歴史的名所などを案内しますよ。ブダペストクラブのオフィスも非常にいい場所にあるんです。王宮の近くでもありますし、向かい側には有名な教会があります。向こうでもぜひご一緒して、美味しいものを食べに行きましょう。

須藤 ありがとうございます!


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▲対談を終えた須藤元気さん
アーヴィン・ラズロ×須藤元気

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