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長い長い梅雨の谷間。たまたま夏の日が訪れた7月15日。
東京会場となる「Duo」はクラブカルチャーのメッカである渋谷のど真ん中。普段アキバの裏通りを徘徊するヲタには厳しい環境のなか、FLASH界最大の祭典「Slashup★02」が開催された。(2006.08.01)
「Slashup」の前身である「FLASH★BOMB」から数えて今年で4年目。夏の祭典は渋谷のど真ん中で開催されるイベントにまで成長した。20代の若者を中心に主婦から少年までの幅広いFLASHファンが入り口に詰めかける光景は、会場のおしゃれな雰囲気も手伝って、少し早い時間から始まるクラブイベント、という表現がぴったり当てはまった。
世田谷区民会館で1000人を集めて行われたFLASH界史上最大級のイベント「FLASH★BOMB」が大成功を収めたのが2005年の夏。主催の五十嵐ひかり氏との雑談の中でたまたま出た「今度は渋谷のクラブでやるよー!」という言葉に「この人は一体どこまで行くんだ?」という思いがよぎったのがその年の秋。MacromediaがAdobeに買収されてクラブイベントを開く昨今、FLASHがどんどん遠いところにいってしまうのではないだろうか。特に2ちゃんねるからの古参ファンにはその思いが根強く残っていた。
ところがその不安はOPムービーによってもろくも打ち砕かれた。4年連続のオープニングアクトはスキマ産業氏。夏の風物詩ともなった「楽園」は昨年以上の迫力と演出によって観客を一気にひきつけた。
何よりも音がいい。さすがクラブというべきトリハダモノの音響システムは、過去のどの会場よりも強烈な音世界を作り上げ、FLASHと音楽が切っても切り離せないものであることを再認識させてくれた。
FLASHは新たな世界に飛び立とうとしている。それはスキマ産業氏が「num1000」を発表したときから事前に決められていたことで、我々はその貴重な数年間に立ち会えているのだ。そして7月15日、間違いなくSlashupはそのうねりの中心にそびえる金字塔であり、観客と作家とスタッフは、そのうねりを支える主役たちだった。
ただ、そんな実感を感じるのもつかの間。会場の誰もが息を飲む映像がフェイドアウトすると、おなじみの登場曲。DJ急行氏&セラチェン春山氏の黄金コンビの登場。ここからがSlashupの真骨頂だ。軽妙なトークによって紹介されるゲストは、4回目にしてついに開始前からへべれけなかーず氏と、対照的にクールなブログマスターUG-K氏。そしておなじみ「ITに詳しいジャーナリスト」井上としゆき氏と、2ちゃんねる管理人西村博之氏。この顔ぶれが東京会場のゲストだった。
春山氏が客席に「前回も遊びに来たヒト!」とたずねると、実に7割近くが手を上げる。このリピーターの多さこそがSlashupの魅力を雄弁に語っていた。「FLASHを大画面・大音量で鑑賞する」イベントを突き詰めた結果、このハコにたどり着いた。ただし、中身は何も変わっていない。MCもゲストもジングルも、そしてお客さんも昨年のまま。結局、新宿でファンが集まっていたあの頃と、何も変わっていない。だからこそ、ファンはいつまでもこのイベントを特別なものだと思える。
東京会場の第1部、記念すべき最初の作品はsoshi氏。それはトップを飾るにふさわしい作品だった。もはや普通のアニメーションといっても遜色ない滑らかな映像と動きは、FLASHの可能性を十分に感じさせる秀作だった。
さらに続くエジエレキ氏やnae氏など、その技術力の高さには目を見張るばかり。まだ両名がデビューしたての頃、勢いとネタで神に祭り上げられていた面影は、もはやない。いまや押しも押されぬ正統派FLASHクリエーターだ。nae氏の作品はかなりきわどかったけれど。
この第1部は正統派FLASHが数多く組み込まれた時間だったが、その中でも特に秀逸だった作品が、おなじみのみ〜や氏、そして爆走戦隊氏、HARDLOVE氏だろう。
かつて「FINAL FANTASY AA」で一躍脚光を浴びたみ〜や氏。そのAAキャラが所狭しと動き回る戦闘シーンの演出力は、おそらくFLASH界随一といっても過言ではない。そのみ〜や氏が今回繰り出してきた作品は、FLASHファンの間ではおなじみ、作曲家onoken氏とのコラボだった。もちろんテーマは戦闘ものだった。
とはいえ、み〜や氏のプライドは手垢のついた「AAキャラ×戦闘もの」をよしとしなかった。自らに「非AA」という足かせをはめて描いた壮大なストーリーは、さすがみ〜や氏とも言うべき緻密な構成力と技術力によって、最後まで破綻することなく観客を魅せつづけたのである。このチャレンジこそがイベントの醍醐味だろう。
爆走戦隊氏の作品もまた秀逸だった。「コンセント」と「宇宙人」というキーワードに着想を得たという、演繹法によるシナリオを破綻させるどころか、言葉一つない演出で観客の理解を最後まで集め、オチまできれいに作り上げたその世界観。もちろん技術力がなければなしえない作品は、技術力だけで評価が得られる過去からの決別を意味しているように思えた。ちなみに作者は高校生。観客席がどよめいたことは言うまでもない。この間口の広さこそ、FLASHの魅力の一つだ。
HARDLOVE氏の作品も、そういう意味で非常にレベルが高い。言ってしまえばただのPVなのだが、そのただのPVで見せることがどれほど難しいか。スキマ産業氏以来、いわゆる「劣化コピー」は氾濫したが、彼こそはPV系FLASHの正当な後継者といえるかもしれない。ある一つのモチーフから着想を得る、思えば「num1000」だって矢印から全てが始まったのだから。
第1部はこのあと、てのり氏の作品を経てひとまず終了。
このあと会場は一般応募作品の発表へと移るのだが、この作品たちのレベルが予想外に高かったのだが、それは次回にとっておきたい。イベントで上映された作品は、Slashupのサイト上でも8月1日から上映が予定されている。今回紹介した作品が公開されている場合はぜひとも確認してほしい。
⇒「Slashup★02」レポート〜前編〜はコチラ |
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