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ラジカル鈴木「このアクトレスにふぉーりん・らぶ」

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ラジカル鈴木のこのアクトレスに
ふぉーりん・らぶ
シャルロット・ゲンズブール/フレンチな幸せのみつけ方 イラストレーター・ラジカル鈴木が、女優と映画を語るイラスト・エッセイ

第19回 シャルロット・ゲンズブール『フレンチな幸せのみつけ方』
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フレンチ・ロリータの代名詞のようだった彼女が、気がついたら立派な女優になっていた。なんともう33歳、2児の母! そんな僕のかつてのお気に入り女優が何人もいることに、時の流れを感じざるを得ない今日この頃。今回、慌てて前作『僕の妻はシャルロット・ゲンズブール』('01)を観る。これだけは必ず押さえておかなきゃ。なぜなら今作同様、監督が実際の夫イヴァン・アタルで、二人が現実のように夫婦役を演じているから。この二人、結婚まえに3回共演しているけど、言わばこれは夫婦共同シリーズ第2作。この2本はまるで現実の二人を見ているような錯覚に陥る。事実とオーバーラップするストーリー。イヴァン演出よりの前の彼女は一貫して内気で無口、ミステリアスなイメージだったが、彼により大変身。大声を出し、泣き笑う。夫の力によって新たなシャルロットが誕生したと言える。余談だけどイヴァンはフランスではトム・クルーズの吹き替え役者ってのがちょっと可笑(おか)しい。

とにかく大人になったシャルロット。小さい時はふて腐れたスネたようなただずまいが亡き父、セルジュ・ゲンズブールを彷彿させていた。けだるく、生意気な態度。笑った時の歯茎の出かたが完全に父親と同じ。とばかり思っていたらどうですか現在の姿は。母ジェーン・バーキンにもそっくりではないですか! ホネっぽい骨格、痩せた体型、長い首……そして、洗濯板に干しぶどうの超貧乳。でもセクシー。お見事! ご存じジェーンはエルメスにその名が残っているくらいのファッショナブルな女優。丁度50%ずつ二人が完璧にミックスしたのがシャルロットだ。内面もおそらく生まれながらにしてフレンチなエスプリとブリティッシュなクールさを遺伝子で受け継いでるに違いない。なんとカッコイイんだろう、んで個性的だけど結構美人だ。


シャルロット・ゲンズブール『フレンチな幸せのみつけ方』
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シャルロット・ゲンズブール『フレンチな幸せのみつけ方』


彼女が危く儚(はかな)げな、色白で弱々しい影のある薄幸な子供だったデビューの頃から見てる。'85年発表の父セルジュとのデュエットのプロモビデオ『レモン・インセスト(近親相姦)』、こりゃあ怪しかった、衝撃だった。親子で何してるんだ!? オイオイって感じで。そしてセルジュが監督・親子共演した映画『シャルロット・フォー・エバー』('86)では益々エスカレート、絶対に家庭では見せられないアブナイ作品に。しかしセルジュ・ゲンズブールは僕が最もリスペクトするアーティストの一人。読者の皆さんはリアルタイムでの活動を知っている人はあまりいないかもしれないけれど、彼の音楽や映画はまだまだ根強く益々人気を博しているのでご存じかもしれません。スキャンダルとアート……彼は映画、絵画、音楽、写真、俳優、文章とあらゆる方面で功績を残した天才。晩年、「人生で大切なものを選ぶとしたら?」という質問に「まずメイク・ラブ、次が酒、タバコ、書くこと、またメイク・ラブ、死を待つ事……そしてシャルロット」などと答えている。


初主演作『なまいきシャルロット』('85)で早くもセザール賞最優秀新人賞を受賞。続いて母ジェーンと共演の『カンフー・マスター!』('87)。『小さな泥棒』('89)、この作品は少女時代の代表作と言っていいだろう。エキセントリックなとんでもない子供だけど、彼女の魅力で観客は、どんな罪も許してしまう。両性具有、内気、下手でぎこちない演技、それらがみな魅力的なのはやっぱり母親譲り。'91年に父セルジュ亡くなる。『愛を止めないで』('91)で夫イヴァンと出会い、以降共演が続く'90年代。『愛されすぎて』('92)、『ラブetc.』('96)、このあたりでシャルロットも少女でなく女を演じられるようになってきた。それまでシャルロットはシャルロットそのままだったが、ようやく他者になる“演技”をし始めた時期だ。娼婦のようなすさんだ感じと少女のような透明感が同居するアンビバレントな魅力。実際すごいチェーンスモーカーらしいが、画面でもさすがにタバコをくわえるのがサマになってる。そりゃあタバコと酒で心臓発作で死んだ父親と、やっぱりヘビースモーカーの母親との娘だもん。そして野心作『ジェイン・エア』('96)ではフランコ・ゼフィレッリ監督、また話題作『フェリックスとローラ』('00)ではパトリス・ルコント監督と名匠との仕事が続き、演技的にも益々磨かれていく。一貫して不幸な役が続いた。薄幸度はずっととても高かったが、実生活ではイヴァンと幸せな家庭を築き、彼の監督作で薄幸なイメージはだいぶ薄れた。軽妙な作品もいいじゃないか、シャルロット。彼は愛する妻の新たな面を引き出したのだ。『21グラム』('03)ではハリウッド・デビューもする。

『僕の〜』から4年、あのカップルは今どうしているのか? 結婚がテーマの今作で、彼女は100%ハッピーというわけではないが、30歳を過ぎいろんな経験をし、圧倒的に魅力が増した女性を地で演じている。良い女優になった。僕はずっと見てきたから感慨深いものが。13歳の時からすでにシャルロットをふぉーりん・らぶ してたから、おっと、アブナイ、アブナイ!?

次回更新は4/28(木)、
『シャル・ウィ・ダンス?』の
ジェニファー・ロペスです。
お楽しみに!
アクトレス・データ
シャルロット・ゲンズブール
(Charlotte Gainsbourg)
1971年7月21日、ロンドン生まれ。父親は仏のミュージシャン・監督の故セルジュ・ゲンズブール。母親は女優で英出身のジェーン・バーキン。元祖セレブカップルの娘として幼い頃から映画界に触れ、11才の時、エリ・シュラキ監督の『残火(日本未公開)』('84)で映画デビュー。'85年には『なまいきシャルロット』で初主演、セザール賞の最有望新人女優賞を受賞、フレンチロリータのアイコンとなる。その後も数々の映画に主演、エリック・ロシャン監督の『愛を止めないで』('91)で共演したイヴァン・アタルと交際を続け、'97年に男の子ベン、'02年には女の子アリスをもうけている。
映画データ
フレンチなしあわせのみつけ方
(原題:ILS SE MARIERENT ET EURENT BEAUCOUP D'ENFANTS)
監督:イヴァン・アタル
出演:シャルロット・ゲンズブール、イヴァン・アタル、エマニュエル・セニエ 他
配給:GAGA
公開:4/2(土)より渋谷シネ・アミューズにてロードショー
ラジカル鈴木 プロフィール
1966年埼玉県生まれ。一度見たら忘れられない強烈なインパクトの女性像を描き、書籍の表紙、雑誌挿絵、ポスターなどに引っぱりだこ。国内のみでなくフランスなど海外でも人気が高い。映画ファン歴は長く、現在『月刊ディレクターズ・マガジン』でもコラム執筆中。
http://www.big.or.jp/~radical/

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