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「直言」スペシャル鼎談:宮崎×平野×植草

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宮崎:今回の永田議員のニセメール事件ですが、メールの内容の真偽はともかく、唖然とすることが多いですね。何が唖然とするかというと、民主党の対応ですね。
 まず、文化論的な話に最初からなるんですけれども、政治は与党がいて野党がいて、敵対しあってお互いにぶつかり合って流れができていくわけです。その流れの中で歴史の変遷があるんです。まず55年体制化における自民党と社会党の関係ですが、これはよく平野先生が書いておられることですが、要するにある程度の政治的拮抗はあった。まあ自民党が少し多くて、社会党は社会党でそれに対抗していくあり方の中で政治が動いていくわけですけれども、この時もやはりその自民党からの「毒」(=カネ)が社会党に回っていたという、それでいてお互いが対立しながらお互い依存して支え合って生きていくという体制だったと思う。
 僕はその時の社会党というのはですね、自分たちがやっていることの意味は、意識していた、わかっていた。「そうでありながらそうなんだ」という。
 ところが、今回の民主党の対立と腰砕けのあり方みたいのを見ていると、無意識のうちにそれ以上の依存関係を作っちゃっている。この意識か無意識かという差は非常に大きいように思うし、無意識のほうが怖い。意識しているやつがやれば、途中でやめることも可能だけれども、今の自民党と民主党との関係というのは、無意識で寄り添っていこうという関係になってきている。これはひょっとすると55年体制よりも悪い体制になっているんじゃないのか。
宮崎学×平野貞夫×植草一秀 55年体制だったらまだ社会党の存在というのは、国民の中でガス抜き的な意味もあったでしょうし、そういう意味では今回の形はガス抜きにももはやならないと。こうなってくると、敵対する政治勢力がこう二つあってですね、お互いやり合っているといった時に、どちらが与党であり野党であることは別にしても、相手が極端に弱い場合、相対的なもんだと思うんですね、どちらが強いか弱いかというのは。相手がとんでもなく弱い場合というのは、対立というのは形の上だけの対立ももはやなくなって、対立していないということになっていくんじゃないかと。そんなふうに思えてならないんですね。
 今回の場合も、最初はいろんなことが言われましたけど、ニセメール問題については、「官邸からの仕掛けじゃないか」というような話もありましたけど、そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。仮にそうじゃないとした場合、僕はそこまでやらなくても十分相手は勝手にコケてくれるんだという、官邸の意識は、こんなことになっているんじゃないのかなという。

平野:この問題は、まず、文明論的な視点で位置づけ、定義してみようと思いますね。私は三つのファクターがあると思うんですよ。
 第一点はいわゆる55年体制の自民党と社会党の議会政治の運営の背景は、米ソ冷戦という国際政治の条件にきわめて制約されていた、しがたって社会主義政権を作らせなくするための行動が必要で、これは国民的にもコンセンサスがあったんですね。私自身も1960年から1989年まで衆議院事務局の中でですね、社会主義政権を止めるという前提で、55年体制の中で自民党に有利な仕事をさせられてた、ということがあるわけです。第二点は、今は冷戦時代ではなくなった。したがってそんなもんに遠慮せずに、日本の国の政治勢力が主体的に政治を行わなければならないのに、なぜそれが行われないのかという、ことですね。
 冷戦問題とは違って、資本主義の構造が重化学工業社会、モノを作っていかにそれを多く売っていくかということ、そして人間の価値観が、カネを持っている者が偉いとか、ステイタスがあるとかという所有欲求を是とする価値観の社会だったわけですね、今はどういう社会かというと、情報社会ですね。情報の量と質と、情報の整理選択の能力でそれが決まると、こういう社会なんですね。
 ところが、価値観はそれにふさわしい倫理観、ルールというのはまったくなしに、所有欲求の重化学工業資本主義の価値観で突っ込んでいる。そこに勝ち組と負け組とか、アメリカの市場万能主義というのを日本に押し込もうという構造。ここがポイントで、その中で議会制民主政治がいかにあるべきかという問題です。
 それから、第三点は、現実の問題なんですが、郵政解散っていうのは憲法違反ですね。憲法を停止した。これを日本国民の大多数の人が批判できない。政党の政治を批判できない。偽装解散、粉飾総選挙。それに対して、民主党の岡田代表が辞めて、前原が代表になる時の構造に問題があるわけですよ。すなわち民主党の両院議員は前原代表を選ぶにあたって、どれほど冷静に文明論的な検討をしたか。してないんです。
 要するに菅直人と2票差で前原が勝ったわけですけど、前原に入れた人間が全部そうだったとは思いませんが、小泉を勝たせた日本の民衆と感性が同じような流れで民主党の国会議員が前原に入れてるわけですよ。55年体制の時には、社会党は与党である自民党に高く売ることにね、上手だったんですよ。少なくとも、裏金の国会対策費としてね、年間に数億をもらってた。上手にね。インフォーマルに内閣機密費とかを飲み込んで。同時に合法的には公共企業体と組合法で国鉄とか仲裁裁定に基づいとって、その何%を社会党に、と。ですから、今の前原民主党は、六本木のスナックでごちそうされたくらいで、コロッと転ぶというね、そういう構造になっているわけですね。

宮崎:百円ショップみたいな(笑)。