宮崎:兵隊としてもっと闘うには平等にやってくれと。これは有効性があったにはあった。しかしながら、よく考えると一君というところはあるんですよ、それは。僕は、民主主義、人権なんてそんなもんだろうと思ってる。お前たちが一君だという以上は、一君万民だろうと。そういう理屈ね。つまり対抗的論理として、もっと言えば方便としての民主主義とか人権とかならありえるけど、本来的にはありえない。ずっと闘っていくしかないんですよ。
安田:本当に「人権」があるとしたら、その説明も、そうすることの弁明も必要ない、ただやるだけしかないんじゃないかな。戦略とか戦術とかね、そんなものは必要ない。戦略とか戦術というのはやっぱり政治であって、つまりそれは多数派か少数派か、力があるかないかっていうだけの単純な話なんです。
宮崎:人権派弁護士批判としては、そういうことがあるんですけども……。
安田:少なくともはっきりと言えることは、過去において「人権派弁護士」ってのはエリートでありね、スマートだったんですよ。切れ者だったんですよ。そしてエキスパートなんですよ。そういう人たちでないと人権派弁護士にはなれなかった。一生懸命司法試験受けてもなかなか受からなかった人たちは、人権派弁護士にはなれない。それが現実だったんです。
宮崎:今言われたように、僕たちは「人権派弁護士」を十把一絡げにして批判してるんだけれども、果たしてメディアなんかが今批判している弁護士、たとえば安田弁護士とかは、かつては人権派弁護士と名乗ったことは一度もない。
安田:うん、無縁でしたね。
宮崎:本人が「人権派」だと名乗ったことのない人間を「人権派弁護士」というふうに言うことは、差別用語であると。私は「人権派」などというそんな軟弱なものではないんだと言ってるとしたら、それは差別用語じゃないか、というようなことはやっぱり言ってやるべきだと思うんだけど。この人たちに対してはね。
安田:この人たちって誰を言うの?
宮崎:批判している人たち。
安田:もともと、「人権派弁護士」ってのは、自称した人たちはいないからね。自由人権協会っていう社団法人があるけど、その人たちも含めてね、「自分は人権派」だと言った人たちはいないでしょうね。誰も、いろんな人たちの弁護をやってきたわけだし、「人権派」だけで食ってきたわけではないからね。しかし、少なくともはっきりしてるのは、人権派=ステイタスとされていた時期があったのは確かなんですよ。
宮崎:どのくらいの時期まであったんです?
安田:そうだなあ、1980年代まででしょうね。日弁連の人権委員長の役職が重視されて、委員長の席が激しく争われたり、人権委員長を務めないと会長にはなれないとかね。
宮崎:‘80年くらいにはまだあったの?
安田:ありましたね。「人権派弁護士」の頂点たる人が最高裁判所の裁判官になることもあった時代だったんですよ。
魚住:週刊新潮とか文春がね、「人権派弁護士」とか「人権」を叩く。あれはある意味では正当な部分もあるんだよね。さっき、安田さんが言ったように、「人権」っていうものの、貧困さ。「人権」と言ってきた人たちの貧困さ。その貧困さと「人権」というもののステイタスのギャップというのがずっと広がってきて、明らかにどこから見ても違うじゃないかと。言ってることとやってることがね。
安田:あまりにも落差があるよね。
魚住:あるでしょ。だからね、「人権派」批判というのは、僕は正当だとは思わないけど、相当な部分で当たってるところはあるんですよね。
安田:でも、僕は今回、不思議なことに新潮には批判されてない。なんでだろう?。やっぱり、僕は「人権派弁護士」ではないんでしょうね。
宮崎:そりゃ、内容証明送るべきだね(笑).。名誉毀損事件の時にね。お前たちだって、「人権派」を使うだろうと。十把一絡げにするんであればね。その中の人間を使ってるじゃないか。言った以上は、それはやめるんだなと。そういうことをキャーキャー言ってるわけ、こっちは。そういうレベルのことに関しては、あいつらは非常に弱いんですよ。この間はね、今まで「人権派弁護士」批判をやってきた人たちとは違う人たちがやってるんだよね。
魚住:今までやってきた人たちってのは?
安田:新潮でしょ、サンケイグループでしょ。でも、今はそうじゃないんですよ。「人権派弁護士」を批判してこなかったヤツらがしているんだよね。
魚住:誰?(笑)
安田:読売とか、毎日とか、テレビ朝日もそう。既存のマスコミですよ。彼らが、新潮とかサンケイグループに、2周も3周も遅れて登場してきたんですよね。耐震偽装のヒューザーの小嶋社長批判に典型的に表れていますよ。むしろ、新潮とかサンケイグループのほうが冷静で客観的なような気がしますね。
宮崎:最初からそういう問題意識を言ってたもんね。新潮と、正論は教育してるね。
宮崎:あいつはやっぱりどうしても無罪にしないといけないということかね(笑)。
安田:いきなり、話が変わってしまったけど、小嶋社長のインパクトはものすごいよね。
この時代では珍しいよね。こういう人が、このバカな時代にいたんだ、と。宮崎:でも、ああいう人をたくさん作ってるみたいな気がするけど。この間のいろんなとこで。