宮崎:終了時間も迫ってきたので、まとめに入りたいんですけど、最初の話ですが、安田さんは名前は出てないけど、一連のオウムの事件や光市の母子殺人なんかでバッシングの代表選手みたいになってるんだけど……。
安田:僕は、もともと、テレビを見たり、新聞を読まないから、自覚はないですけどね。
宮崎:(笑)。今後、こういうふうな検察と裁判所のかなり強硬な方針が出てきて、メディアが拍手喝采するというような時代を迎えて、どう抵抗していくかと。
安田:だから、2つの選択肢があって。今後こういう中に入り込んでいってね、それなりの最善を尽くすという話がある。もうひとつは、こんなひどいことを告発する意味でね、闘って砕けようかなというのもある。
魚住:えーどういう意味?
宮崎:前者の話は、裁判所の言ってきてる手続きの中に入っていって、そこで尽くせる最善をということでしょ。
安田:もうひとつは正面で宣言して、「こういう問題だ」っていうことを鮮明化させて、終わればいいじゃんという話なんですね。実は、ものすごく迷ってる。(光市の母子殺人事件の裁判ボイコットについて最高裁から呼び出しをされている)4月18日の話だよね。
18日に行くということは彼らの理不尽な命令に従うということなんです。18日に行かないというのは、彼らに抵抗して、司法の腐敗を問題化することです。何が一番いいのかっていうのが問題の本質。僕の周囲の人間は、大姑、小姑のみんながそろって、「欠席は一度だけにしておいてくれ。今度、抵抗したら、お前の有罪は確定するぞ」っていうわけ。最高裁に抵抗することは、最高裁の裁判官予備軍の全部を敵に回すことになるということなんでしょう。僕にとって、一番大きな問題は、抵抗した場合、すぐに光市の事件に国選弁護人が選任されてしまい、簡単に終わらされてしまうだろうということなんです。一番迷惑を被るのは被告人ですからね。結局、僕の意思も弱いから、抵抗しないで終わるかなーと。
魚住:抵抗しないっていうのはどういう意味?
安田:18日に行って、言われるままに、おざなりの弁護で済ませるかどうか。
魚住:どういうふうに?
安田:改正刑訴法は、弁護人が弁論期日に出てこない恐れがある場合は、国選弁護人を選任できるとなっているんですよ。だから裁判所に、「一方的に期日を決めるのは、とんでもない」と言ってしまったら、それをよいことに、裁判所は、国選弁護人の選任手続きに入ってしまう。入っちゃえばもう終わってしまいます。裁判所に被告人を人質に取られてしまっているので、意地を通すこともままならなくなってきている。
宮崎:でも、そういうことをね、今後問われることは多くなるだろうね。
安田:いろんな場面でね。というのは、裁判所は今まではこちらの思いをそれなりに理解していた。しかし、今はそうではなくなってしまいましたね。
魚住:あれはどうなの、麻原裁判の控訴棄却。
安田:全くの予想外でした。裁判所は、弁護人との約束をも反故にして、控訴棄却なんていう無謀な解決はしてこないと見ていたんですけどね。いくらタカ派の裁判官であっても、控訴趣意書を提出させて、全然理由がないと証拠を全部却下して一件落着させるという無難な解決策を考えていると見ていたんですけどね。彼らは弁護団に、期限を過ぎても控訴趣意書の提出を認めますと約束していたんですからね。しかし、控訴棄却の決定書が200ページもあったそうですから、彼らは、前々から控訴を棄却する方針の下に着々と準備していたんですよね。通常は、棄却決定書は、ペラ1枚なんですけどね。彼らの用意周到さと狡猾さと強権発動を見抜けなかったんですね。
宮崎:準備万端整ってたんだ。