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直言増刊2号・宮崎学×安田好弘×魚住昭「検察国家日本を斬る」

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検察国家日本を斬る 宮崎学×安田好弘×魚住昭

安田:西山鑑定なんて嘘っぱちだからね、自分の目の前で一言も麻原本人は意味ある言葉を発しなかった、意思疎通はできなかったと言いながら、ペンを与えたら、向こうが引っ張ったって。だから意思があったと。しかし、子供だって引っ張るよ。猿だって引っ張るだろう。西山鑑定も、周到に用意されものだったんですね。

宮崎:ウチの犬もよくやるよ。

安田:ホント? 麻原被告は、もともと訴訟能力はあった、しかし、それがなくなったっていう証拠がない。だから、現在もあるんだという論理なんですね。そうだとすれば、自分の目の前で彼とコミュニケーションが取れたのか。仮に、その間に取れなかったのなら、24時間ずっと、端から見てみたらどうか。
見てみろよと。しかし、そんなことは、何もしてないんですよ。

宮崎:でね、僕が言いたいのは、検察の話をした、裁判官の話をした、弁護士の話もヤメ検弁護士の話もした。そういう中で俺たち、どういうふうにして生きていけばいいんだろう、と。どう思う、それ?

安田:私たちを守ってくれる制度は、変質したり、解体させられたりして、一切なくなってしまったと思う。それでもね、いくらかは、守ってくれようとしてくれる人が、少なからずいたんですけどね、おそらくこの間の騒ぎで、その人たちも、尻込みをせざるを得なくなって、ほとんどいなくなったと思いますよ。結局、自分たちで、自分たちを助けてくれる人たちを切り捨ててしまった。今回の騒動で、一番萎縮してるのが弁護士だし、展望をなくしてるのも弁護士だと思いますよ。

宮崎:ただ、僕はね、あそこで控訴趣意書を出していたとしたらですよ、それは嘘を書くことになる。だって、依頼人との関係では全く没交渉なんだから。まったく弁護士の作文なんだと。それは書けないと。

安田:現実にね、目の前にいる彼がおかしくなっている時にね、彼の代弁をできるかっていう問題がありますよ。まず、治療をして、能力を取り戻すことですよ。

魚住:裁判所の控訴棄却を聞いて、「えっ裁判所っていつからこんな強権的になったの?」って、そういう意味での意外さはあったわけ。僕は戦術的には弁護人らの読み違いはあったかもしれないけど、基本的な方針としては僕は非常に正しいやり方だと思った。

安田:戦略的にはね、僕は間違ってなかったと思う。去年の8月に控訴趣意書を出してしまえば、今頃は、高裁も終わっていて、最高裁に係属していたと思うよ。そうしたら、訴訟能力がないにもかかわらず、裁判を強行しようとした裁判所の違法性は、不問にされてしまう。彼の現実の姿を見てるのは弁護人と鑑定人だけだけど、裁判所が確定させるというなら、マスコミの人も他の人も、現実に彼と会ってもらって、実際どうなのか確認してほしいと思っています。そうなれば、裁判所の犯罪は白日の下になると思いますよ。でも、裁判所がそこまで強行してくるとは思ってもいませんでしたから、僕も完全に読み違えていましたね。

検察国家日本を斬る 宮崎学×安田好弘×魚住昭

魚住:やっぱりあそこでバーッと踏み込んでくると。それは光市の事件でも?

安田:そう、延期申請さえも認めないとは思ってなかったですよ。

宮崎:戦略的には正しかったと思ってる。僕は、松井さんがやったシンポジウムなんか見て、僕は裁判所の対応はそうじゃないかと言ってるんですよ。裁判所なんかそんな所なんだって。血も涙もあったら裁判官なんかできねえだろうと。神様に代わって、オマエは何年懲役だ、死刑だとか言えるようなね、そんなことを言えるのは神様以外にないんですよ、それは。神様になりたい人がやってるんだから、どこかで間違ってる人間性なんだと言ってるわけですよ。ということだから、僕は裁判所の対応はこんなもんだろうと思ってた。思ってたけども、スジを通したほうがいいと。その場合は。

魚住:官僚的な対応をやると思ってたんでしょ? 僕もそう思ってた。

宮崎:その官僚的な対応の中身なんだよ。官僚的な対応が変遷してきてる。今までだったら、一応官僚的ということは、両者の意見を聞いたような形にして、結論だけは先にあるということで、結論に持っていくということなんだけど、手続きの公平性みたいなところはもういらないんだという話になってるんですよ。結論にどう飛びついたかで拍手喝采があって、裁判官が社会的に評価される、社会的に評価されるということは上司から評価されることを含めてね、よりよいポジションに行くためには、古い官僚的公平性というものを排除したところに、現代的な官僚の意味があるというね。

安田:僕は、昨年の8月の段階で、控訴趣意書の提出を拒否したのは良かったと思っている。拒否したことによってね、彼の訴訟能力の問題がクローズアップされ、社会に一定の理解を得ることができ、そのような状況の中で、学会のリーダー的存在である精神科医がこぞって、彼の様子を現実に診てみようということで、弁護団の依頼で次々と鑑定に乗り出してもらえるということができた。そして、みなさん全員が、疑いなく訴訟能力がない状態であって、治療をすれば治るという結論だったんです。普通なら、これですでに勝負はついていたはずだったんですよね。裁判所は、その鑑定を受け入れて、裁判を停止して彼に対して治療を始めるか、最低でも、正式な手続きで公正な鑑定を行うはずだったんですよね。ところが、裁判所は西山鑑定人に訴訟能力があるというおよそ精神鑑定とはほど遠い荒唐無稽な鑑定をさせて、弁護人らが提出した鑑定の結果を公然と無視したんです。裁判がこれほどまでに政治的に動いたのは初めてではないですかね。彼らは、明らかに事実を捏造したんだと思いますよ。

魚住:そう、だから僕が感じた違和感は、それだったよね。「えっ裁判官っていつからこんなに強くなったの?」と。そこでやっぱり、ある種の司法官僚も含めた、一般化すれば司法官僚の変質みたいなものは知らない間に進んでたんだなーという感じはするよね。

安田:これほどまでに裁判所が政治的に動き、強くなってたとは思わなかったなあ。だった、裁判もせずに、死刑にしてしまうんですよ。その実質は、第2次世界大戦前の裁判よりももっとひどいと思いますよ。もっとも、僕の見方は本当に甘かったですけどね。

宮崎:ということは、どう生きればいいんですかね、我々は。